Interview -インタビュー- 2016

Johann Perathoner

大都会の「いま」の息吹をキャンバスに再現する「私のこだわり」

若々しさがみなぎるルックスそのままに都会的な感性を体現するヨハン・ペラトーネル画伯。自身の世界を表現していく為にいつもどのようなことにこだわりながら創作活動に向かい、また日々の暮らしを送っておられるのでしょうか。プライベートもく含めた画伯の「こだわり」についてお聞きしてみました。

アトリエはどのようなところなのでしょうか。

私のアトリエは、パリのアッサス通りと言うところにあります。そこはセーヌ川のほとりにあり、対岸にはルーブル美術館があります。有名なモンパルナスもすぐ近くにあるという環境です。アトリエはパリの中心部で交通の便もよく、たいへんおしゃれな地区なので、この場所を選んだのです。目の前には美しい公園もあります。こちらは制作専用のアトリエで、個人のお客様に作品を観ていただくため、よりきれいな場所をカルチェ・ラタンにも持っています。
私の作品は長時間に渡る集中力を要するものなので、落ち着いて制作出来る場所であることがアトリエに求める最も重要な条件です。穏やかでとても静かな場所であること、具体的には静かな広い庭があること、明るいこと、そして何よりきれいであることという3つの条件が大切だと考えています。
特に制作にとって採光はとても大きな要素で、私も自然な光をいかにうまく取り入れるかに心を配っています。でも、作品を照らす明かりが美しく調和のとれたものであるならば、人工的な照明も必然的に美しく見えるものです。


パリ・ソワレ

 

1日のうち、最も制作に集中できる時間はいつごろですか。

私は毎日、朝の8時半から夜10時まで制作を行うので、ほとんど1日中作品と向き合っているようなものですね。孤独を感じる夜はかえって内面に入り込みやすいので、そのまま朝の4時か5時頃まで徹夜で作業をすることも有ります。普通の人が寝てしまう時間帯でも 技術家にとってはかえって邪魔になるものがなく、良いものが作れるということはあると思います
制作中はモーツァルトやヴィヴァルディ、ショパン、ベートーベンなどのクラシック音楽をよく聴いています。10年間ピアノをやっていたので、実はクラシック音楽には精通しているんですよ。とても細かい作業をすることになるので、落ち着いた、心に安らぎを与える、しかし邪魔にならない音楽が欠かせません。

 

睡眠や食事などに関してこだわっていることはありますか。

まず睡眠については、毎日ほぼ0時に就寝して朝7時に起床するのが通常です。仕上げなければならない作品がいくつもあるときや作業に興が乗ったときは深夜や明け方近くまでアトリエにいることもありますが、リズムを崩さないためにもなるべく7時間は寝るようにしています。
就寝の前には必ず温かいお湯に浸かります。集中力を要する仕事なので、一区切りがつくとどっと疲れを覚え、筋肉が固まってしまうことも多いのですが、温かいお風呂はそれをほぐしてくれます。精神的なくつろぎももたらしてくれますしね。その後はやわらかいベッドに入り、部屋を十分に涼しくしてから、完全に明かりを消して休みます。
食事は朝は主にシリアル。1日の始まりにはたくさんのプロテインとビタミンが必要なので時おりハムのサンドウィッチとバナナ、ナッツ類などを食べます。お昼は野菜とお肉とパスタが入ったサラダを買います。パスタの糖質は午後を乗り切るために欠かせないエネルギーですからね。そして午後5時にはリンゴをひとつつ食べます。
夕食は上質な、時々少し高級なフランス料理を楽しみます。フランスでは、鴨やリブロース。ブフ・ブルギニョンのような気品のある食事が好まれますし、私も大好きです。特に赤身のお肉が好きで、新鮮な牛のカルパッチョは大好物。いつか神戸牛を食べてみたいですね。逆に苦手なのが生魚。調理された魚もあまり好きではなく、魚の代わりにオメガ3のサプリメントを時々服用することで、体に必要な栄養を補っています。
お酒はふだんそれほど飲みませんが、昼食どきやレストランに行ったときにワインを1杯頂くこともあります。サン・テミリオンのワインが好きです。


バルセロナ・スカイ

 

スポーツを楽しまれていることもありますか。創作に向かっている以外の時間は、どんなことでリラックスをしていますか。

よくテニスをして楽しみます。スポーツジムにも登録していて、週に3回通っているんですよ。そこで1時間のトレーニングと30分のヨガを行って、サウナに入ります。時々アトリエの目の前にあるリュクサンプール公園を走ることもあります。制作に向かっていないときには、友人と過ごすことが多いですね。友人達とカフェで過ごす時間はとても楽しい物です。日曜日に美術館に行くことも好きです。パリには300以上の美術館があるのでたくさんの美しい物を観ることが出来ます。また、夜にギャラリーで行われるパーティーに出席することもあります。著名人やコレクターの方々がいて、彼らと話すことは自分自身にとっても大変有意義な経験です。
他には映画を観るのも大好きです。父がフランスの映画賞であるセザール賞の役員をしていることもあって無料で良い映画を観る機会が多いのです。時間がある時にはずいぶんたくさんの映画を観ていますよ。


 

ご家族やご友人との関係をよりよくするため、日頃から心がけていることはありますか。

そうですね。両親とは毎週末レストランで食事をしながら、その週の出来事について話をします。また、一緒に暮らしていない大叔母と二人のいとこがいるのですが、彼らにも毎週電話をかけておしゃべりをしています。クリスマスなどの特別な日は、両親とパリにいる従妹たちなどと一緒に過ごしますね。
友人達とは、毎週金曜日の夜に集まり、まず自宅で軽くワインを飲んでから外に出かけ、楽しい時間を過ごします。彼らとは日頃からもたくさんのメールをやり取りしていて、お互いの健康のこと、最近あった面白い出来事、政治のことなど、色々な話を交換します。フランス人は政治について話し合うことが好きなんです。


ロンドン・シティ